股（股関節・そけい部）の痛み

股関節にある軟骨が擦り減ることで、足の付け根に痛みを生じる疾患です。
正座ができない、足の爪が切りにくいなど、日常生活に支障をきたすこともあります。症状が進行すると、安静時にも強い痛みを感じるようになります。

立ち上がるときや歩き始めに股関節に痛みが走るほか、関節の可動域が制限され、正座が困難になるなどの運動障害が見られます。
重症化すると、安静にしていても痛みが続き、夜間に痛みで目が覚めることもあります。

大腿骨の骨頭部分への血流が滞ることで骨組織が壊死し、骨の陥没や変形が生じる病気です。
進行の程度によってはお薬による保存療法で経過を見ることもありますが、壊死の範囲が広い場合には外科的治療が必要になることもあります。

比較的急に股関節に強い痛みが出るのが特徴です。
足を引きずるように歩いたり、お尻から脚にかけて痛みが広がったりすることがあります。

走る・ボールを蹴るなどの動作によって、足の付け根付近に痛みが発生する状態です。
股関節や周辺の筋肉・靭帯に過度な負担がかかることで、柔軟性の低下や拘縮、不安定な動きによる機能障害が引き起こされます。

痛みが慢性化しやすく、自然に治りにくいため、継続的なリハビリテーションによる改善が重要とされています。

キック動作の際に下腹部からそけい部にかけて痛みが現れるほか、走行中に股関節周辺に痛みを感じることもあります。

仙腸関節は、骨盤の中心にある仙骨と腸骨の間に位置する関節で、周囲の靱帯によりしっかりと固定されています。
この関節は、わずか3～5mm程度の小さな動きで脊椎のバランスを支え、建物の免震構造のように全身の動きを吸収・調整していると考えられています。

日常生活における中腰姿勢や急な動作、同じ姿勢の繰り返しなどにより、仙腸関節が緩んだり、靱帯が伸びてしまうと、関節に炎症が発生することがあります。また、体幹や股関節周囲の筋力低下によって骨盤が不安定になり、仙腸関節や靱帯に過度な負担がかかることで痛みが生じます。

この障害は10代から高齢者まで幅広い年代に見られ、特に女性に多く（男女比1：2）、仙腸関節が原因の腰痛として注目されています。

片側に現れる腰の痛みやお尻の痛みに加え、太ももやそけい部など下肢にかけての痛みが起こることがあります。
いわゆる「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛の一部も、実は仙腸関節の異常が原因となっているケースがあります。

この関節の不調が長期間続くと、慢性腰痛に移行することがあり、長く椅子に座ることがつらい、仰向けで眠れない、痛む側を下にして寝られないといった特徴的な症状が見られます。腰や下肢に出る痛みは、腰椎疾患による神経症状と非常に似ているため、鑑別には注意が必要です。一般的に「坐骨神経痛」とされる下肢の痛みも、実は仙腸関節の可動性低下や靱帯への刺激によって起こっている場合があります。

また、仙腸関節は腰椎と近接しており、両者は密接に関連しています。
そのため、腰椎の病気と合併して発症することもあれば、腰椎手術後に残った痛みの原因が仙腸関節にあるケースも考えられます。

股関節への負担を軽減するため、生活習慣の見直しやお薬による治療、リハビリテーション（理学療法）などを組み合わせて行います。
これらの保存療法で十分な改善が見込めない場合には、外科的治療（手術）を検討することになります。

• 肥満がある場合は減量する
• 正座や長時間の歩行、階段の昇り降りなど、痛みを引き起こす動作は控える
• 杖や松葉杖、シルバーカーの使用で股関節への負荷を抑える

変形性股関節症など、歩行時に痛みが出る疾患では運動量が減り、肥満を招きやすくなります。
そうした場合は、股関節に負担をかけない運動と食事制限を組み合わせることで、効率的な減量が期待できます。

消炎鎮痛薬を使用して、炎症や痛みを抑える治療を行います。湿布などの外用薬も併用されることがあります。
痛みが強い場合には、神経ブロックなどの処置を行うこともあります。

筋力を強化することで体のバランスが改善され、股関節の安定性が高まり、結果的に痛みの軽減に繋がります。特に股関節周辺の筋肉だけでなく、大腿四頭筋の強化も重要です。 関節に負担をかけずに運動を行うには、水中ウォーキングや平泳ぎ以外の水泳が適しています。

変形性股関節症に対して、保存療法を3ヶ月以上続けても改善が見られない場合、または症状が進行している場合は、手術が検討されます。

初期の段階であれば、自身の骨を温存する手術も可能ですが、重度の場合には人工関節への置換手術が必要となるケースもあります。なお、心疾患や糖尿病などの持病がある方は、内科の主治医と連携しながら手術の可否を慎重に検討していきます。

痛みがあると動くこと自体が億劫になり、運動不足から筋力が低下し、さらに痛みが増すという悪循環に陥りやすいため、早期に医師と相談しながら、適切な治療方針を決定することが大切です。