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肘の痛み

肘の痛み(肘の内側・外側の痛み)

肘の痛み(肘の内側・外側の痛み)

肘は、腕を伸ばす・曲げる・捻る・持ち上げるなど、日常生活のあらゆる動作に関わっている関節です。そのため、肘に痛みがあると、家事や仕事、スポーツなどにも大きな支障をきたします。

肘関節には骨や筋肉、靭帯、腱など様々な組織が集まっており、痛みの原因も1つではありません。肘の内側や外側に痛みを感じる、動かすと違和感があるなど、少しでも気になる症状があれば、早めにご相談ください。

当院では、丁寧な診察と的確な治療を行っています。

肘の痛みで考えられる疾患

肘関節は、上腕骨と前腕の橈骨・尺骨の3本の骨から構成されており、それらが関節包と呼ばれる膜に包まれてスムーズに動くようになっています。また、肘は複雑な構造により、曲げ伸ばしに加えて、内側・外側への回旋動作も可能です。

このように多様な動作を支える肘には、腱や靭帯、筋肉、骨といった様々な組織が密集しており、炎症や負荷によって様々な疾患が発症する可能性があります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、手首を捻ったり、繰り返し使う動作によって肘の外側に炎症が生じる疾患です。
テニスをする方に多く見られるためこの名称がついています。

原因

手首の使いすぎにより、肘の外側にある腱が炎症を起こすことが原因とされています。

症状

肘の外側に沿って痛みや熱感があり、手を握る・持ち上げる・フタを開ける・タオルを絞るなどの動作で痛みが強くなります。

治療法

鎮痛薬や消炎薬で炎症を抑えるとともに、ストレッチやリハビリテーションを行い、動作の改善を目指します。

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、手首を曲げる動作や、指を繰り返し握る動作によって、肘の内側に炎症が生じる疾患です。
ゴルフのスイング動作に似た負荷がかかることで起こりやすく、「ゴルフ肘」と呼ばれています。

原因

手首を曲げる・握るなどの反復動作によって、肘の内側に付着する筋肉の腱が炎症を起こすことが原因です。

症状

肘の内側に痛みや熱感があり、ゴルフや野球のスイング、重い物を引き寄せる、強く握るといった動作で痛みを感じます。

治療法

安静にして患部を冷やし、必要に応じてNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用します。
多くの場合、これらの保存療法で症状は改善します。

野球肘

野球肘(離断性骨軟骨炎・内側側副靭帯損傷)は、投球動作を繰り返すことで起こる肘の障害で、特に成長期の野球選手に起こることが多いです。

原因

成長期に投球動作を過度に行うことで肘の軟骨が擦り減り、骨に変形が生じることが主な原因です。

症状

肘の前方を押さえた際に痛みや腫れを伴うことがあります。
また、投球動作時に痛みが出たり、肘の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなったりします。

治療法

炎症や痛みを抑えるお薬や注射を用います。
さらに、関節の可動域を改善するために、リハビリやストレッチを併用します。

変形性肘関節症

変形性肘関節症は、肘を頻繁に使うスポーツ・肉体労働をされる方、高齢の男性に多く見られる疾患です。

原因

肘の酷使や過去の骨折、関節炎などによって関節軟骨が擦り減り、骨が変形することで発症します。

症状

肘の曲げ伸ばしが制限され、スムーズに動かせなくなります。
進行すると安静時にも痛みが出るようになり、日常生活にも支障をきたします。例えば「口に手が届かない」「髪が洗えない」といったような状況が見られます。

治療法

お薬によって炎症や痛みを抑えるとともに、硬くなった筋肉や腱に対してリハビリやストレッチを行い、関節の動きを改善します。

肘部管症候群

肘部管症候群は、肘の内側で尺骨神経が圧迫・牽引されることによって生じる神経障害です。

原因

肘周囲で尺骨神経が慢性的に圧迫される、あるいは引き伸ばされることで発症します。

症状

小指や薬指に痺れが現れ、進行すると手の筋肉が痩せてきたり、指の変形が見られることもあります。

治療法

肘を安静に保ち、刺激を避けることが基本です。必要に応じて鎮痛薬を使用します。
また、腫瘍などによる神経圧迫の有無を検査します。

肘の靭帯損傷

肘関節には、前斜走靱帯・後斜走靱帯・横走靱帯という3種類の靱帯が存在し、これらが損傷することで痛みや不安定さが現れます。

原因

投球動作やスポーツ中の急激な負荷、強い衝撃などにより、肘関節にある靱帯に強い力がかかることで損傷が生じます。

症状

肘の痛みや腫れに加え、関節のぐらつきや動かしにくさを感じることがあります。
また、損傷時に「ブチッ」といった断裂音が聞こえる場合もあります。

治療法

まずは患部の安静を保ち、炎症を抑えることが重要です。
損傷が重度の場合はギプスなどで固定を行います。症状が落ち着いた後は、関節の動きを回復させるためのリハビリを進めます。

肘内障(ちゅうないしょう)

肘内障とは、肘の関節で橈骨頭が靱帯から外れかかる状態を指します。

原因

特に5歳未満の小児に発症しやすく、腕を強く引っ張られるなどの外力が原因で発生します。

症状

子どもが腕をぶら下げたまま動かそうとせず、動かすと痛みを訴えるのが特徴です。

治療法

触診や検査で状態を確認した後、外れかかった骨を元の位置に戻す整復を行います。
処置が適切に行われることで、痛みは速やかに軽減します。

肘の痛みの検査

レントゲン

骨の状態を調べる基本的な検査です。骨の変形、骨折の有無、骨軟骨片、石灰沈着など、骨に関連する異常を詳細に確認します。

超音波検査

超音波を使って肘の内部を観察することで、筋肉や靱帯の損傷、炎症、関節の不安定性、さらには離断性骨軟骨炎の兆候などを確認できます。

MRI

靱帯や腱といった軟部組織に異常が疑われる場合に有効な検査です。肘の内側の構造や、離断性骨軟骨炎などの病変をより詳しく調べる際に用いられます。

肘の痛みの治療

薬物療法

炎症や痛みの軽減を目的に、消炎鎮痛剤や外用薬(貼り薬など)を用います。
症状が強い場合には、超音波検査で患部の状態を確認しながら、ステロイド注射やハイドロリリース注射を実施することもあります。

温熱療法などを用いた効果的な物理療法

超音波治療器やホットパックを使用し、患部の血流を促進することで、筋肉の緊張を緩和し、代謝を高めて回復を促します。

運動器リハビリテーション

筋力トレーニングやストレッチといった運動療法を行い、緊張した筋肉を和らげ、関節の動きを改善していきます。

痛みのある肘だけに着目するのではなく、全身の筋肉の使い方や関節の柔軟性もチェックし、身体全体に無理のない動作を習得できるよう指導します。特にスポーツへの復帰を目指す場合には、リハビリやトレーニングを通じて筋力や柔軟性を高めるとともに、投球フォームや動作の見直しも不可欠です。

実際には、肘以外の部位、例えば体幹や下肢などの不調が原因となって肘に負荷がかかっているケースも少なくありません。そのため、患部だけでなく身体全体のバランスに目を向けた包括的なリハビリを行うことで、早期回復と再発の予防を目指します。

装具療法

必要に応じて、肘への負担を軽減するためのサポーターやバンドなどを使用し、日常生活での痛みを緩和します。

手術治療

保存療法で改善が見られない重症例では、手術を検討します。
当院では全身麻酔を伴うような外科的治療が必要な際には、連携する高度医療機関をご紹介いたします。

肘の痛みは当院へご相談ください

肘関節のトラブルは、腕や手指の動作全体に影響し、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。
違和感や痛みをそのままにしておくと、症状が進行することもあるため、早期の診断・治療が大切です。

少しでも気になる症状がある場合は、お早めに当院までご相談ください。