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手の痛み

手や手首の痛み

手や手首の痛み

手や手首は日常生活で頻繁に使われる部位であり、加齢による影響を受けやすい非常に繊細な部分です。細かな動作を担うこれらの部位は、パソコン作業や編み物など指先を使う作業を長時間行うことで、痺れや筋肉のこわばりといった不調が現れやすくなります。

加齢とともに筋力の低下や変形なども生じやすくなるため、日常的な酷使がさらに負担となることも少なくありません。手は人体の中でも特に使用頻度が高いため、違和感や異常が現れた際には早期の対処が重要です。

適切な知識に基づいたリハビリを通じて、正しい回復を目指すことが大切です。

手の痛みの原因

外傷によるもの

突き指や骨折といった怪我によって、手や指に痛みや機能障害が生じるケースがあります。

腱鞘炎

パソコン作業や手仕事などで手首や指を酷使し続けると、腱やそれを包む腱鞘に炎症が起き、痛みや動かしづらさに繋がります。

骨の変形

骨折後の不適切な治療や加齢による変性によって骨が変形すると、動作時の痛みや可動域の制限といった問題が生じやすくなります。特に年齢とともに骨の質が低下すると、こうした変形リスクが高まります。

ガングリオン

関節や腱鞘にゼリー状の液体を含んだ袋状の腫瘤(しゅりゅう)が形成される病気で、圧痛や違和感の原因となります。

手の症状

  • 手のこわばりを感じる
  • 手や指が痺れる
  • 指に痛みがある
  • 手や指を自由に動かしにくい
  • 指が曲がったままで伸ばせない
  • 手首の腫れがある

手の痛みで考えられる疾患

へバーデン結節

へバーデン結節は、指の第1関節(DIP関節)に痛みや腫れ、変形が生じる疾患です。
関節の背側に結節(コブ)ができ、複数の指にわたって症状が現れることがあります。進行すると、指の動きが制限され、日常生活にも支障をきたすようになります。

はっきりとした原因は分かっていませんが、加齢や指の使いすぎが関係していると考えられており、特に40代以降の女性に多く見られる傾向があります。

主な症状

へバーデン結節では、主に指の第1関節(DIP関節)に痛みや腫れ、赤みが現れます。
これにより、細かな作業や強く物を握るといった日常的な動作が困難になることがあります。関節付近に水ぶくれのような透明な腫れができることもあり、これは「ミューカスシスト(粘液嚢腫)」と呼ばれます。

この疾患は長らく原因不明とされ、いまだに根本的に治癒させる方法は確立されていませんが、近年の研究では、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が一因ではないかと考えられています。エストロゲンが減少することで、関節を包む滑膜が傷つきやすくなり、炎症や変形に繋がる可能性が指摘されています。

実際に、へバーデン結節は40代以降の女性に多く見られ、更年期によるホルモンバランスの変化と深い関係があると考えられています。

母指CM関節症

母指CM関節症は、親指の付け根にある「CM関節(手根中手関節)」の軟骨が擦り減ることによって、物を握る・つかむなどの動作を行う際に痛みが生じる疾患です。関節の変形が進行すると、より強い痛みを引き起こすこともあります。特に40〜70歳の女性に多く見られる傾向があります。

主な症状

親指を使って何かを握ったり掴んだりしたときに痛みが現れるのが特徴です。
進行すると、親指の関節が動かしにくくなったり、付け根が腫れるようになります。また、親指が付け根から曲がってしまうような変形も起こることがあります。

手根管症候群

手のひらの中央には、「手根管」と呼ばれるトンネル状の構造があり、そこには正中神経や腱が通っています。手根管症候群は、この手根管内で正中神経が圧迫されることによって、手や指に痛みや痺れが生じる神経障害です。中年以降の女性に好発し、骨折、腫瘍、手の使いすぎ(オーバーユース)などが発症のきっかけになることがあります。

ただし、現時点でははっきりとした原因が特定されていません。

主な症状

親指、人差し指、中指を中心に、痛みや痺れが現れます。
また、親指の力が入りにくくなったり、付け根の筋肉が痩せてくることもあります。特に朝方に強く痛みを感じるケースが多く、痛みのために途中で目が覚めてしまうこともあります。細かい作業が困難になるといった生活への影響も見られるのが特徴です。

ばね指(弾発指)

ばね指(弾発指:だんぱつし)は、指の曲げ伸ばしを繰り返す作業を長時間行うことで起こる腱鞘炎の一種です。
主に、指を曲げる屈筋腱と、その通り道である腱鞘の間に炎症が生じることにより、腱の滑りが悪くなって痛みや腫れ、動かしにくさが現れます。

進行すると、指が曲がったままの状態でロックされ、無理に伸ばそうとすると「バネ」のように急に弾かれるような動きが見られることが特徴です。

主な症状

指の曲げ伸ばしがしづらくなるほか、動作の途中で引っかかるような感覚が現れることがあります。
炎症が進行すると、指が曲がったまま戻らなくなり、無理に伸ばそうとすると「バネ」のように跳ね返る動きを見せるのが特徴です。また、痛みや腫れ、熱を帯びたような感覚(熱感)を伴うこともあります。

突き指(槌指)

突き指(槌指:ついし・つちゆび)は、指の先端に強い衝撃が加わったことで、第1関節(DIP関節)が曲がったまま伸ばせなくなる状態を指します。この状態では、指の末節骨につく伸筋腱が損傷しているケースが多く、腱の断裂による「腱性槌指」と、骨折を伴う「骨性槌指」に分類されます。

特に野球やバスケットボール、ソフトボールなど、球技系のスポーツ中に発症することが多く、受診される方の多くが利き手である右手に症状を訴えています。なかでも薬指・中指・小指の順に発症しやすい傾向があります。また、子どもの場合には、骨の成長線(骨端線)が外れてしまうこともあり注意が必要です。

主な症状

負傷直後から第1関節(DIP関節)が曲がった状態になり、自力では伸ばせなくなります。
患部は赤く腫れ、押した際に強い痛みを感じるほか、運動時にも痛みが増す傾向があります。

関節リウマチ

関節リウマチは、関節に慢性的な炎症が起こることで発症する自己免疫疾患の1つです。痛みや腫れといった症状が現れます。

病状が進行すると、関節内部の軟骨や骨が破壊され、変形や可動域の制限を引き起こすようになります。日常生活に支障をきたすことも多く、特に30代から50代の女性に多く見られる傾向があります。

主な症状

初期には、手指の関節に腫れや違和感を覚えたり、朝起きたときに手がこわばるなどの症状から気づかれることが多くあります。
炎症が全身に広がると、関節の変形だけでなく、全身の倦怠感や貧血など、関節以外の症状を伴うこともあります。

手の痛みの検査

レントゲン

骨折や骨の変形といった骨構造の異常に加え、関節動作時の骨の動揺なども詳しく調べることができます。

MRI

レントゲンでは映らない靭帯・腱・筋肉・神経といった軟部組織の状態を把握するために行います。特に、舟状骨骨折やキーンベック病のような病変は、MRIによって初期段階から明確に診断できるケースが多くあります。

血液検査

関節リウマチなどの炎症性疾患の可能性がある場合には、血液検査によって体内の炎症反応や免疫状態を評価します。

骨密度検査

橈骨遠位端(手首付近)の骨折では、背景に骨粗鬆症が潜んでいる可能性があります。そのため、骨密度の測定を行い、骨の健康状態を確認した上で適切な治療方針を決定します。

手の痛みの治療

治療内容は、痛みの原因となっている疾患や外傷の種類、またその重症度に応じて異なります。
ここでは、一般的な治療方法をご紹介します。

患部の安静

骨折の場合はギプスやシーネを使用して患部を固定します。
捻挫や靱帯損傷にはテーピングが用いられ、関節や筋腱に過度な負荷がかからないよう安静を保ちます。また、変形性関節症・腱鞘炎・神経障害などに対しては、手首の使いすぎを避けることが重要です。必要に応じてサポーターやテーピングを併用することもあります。

薬物療法

症状の緩和を目的に、痛み止めの内服薬や貼付薬を使用します。
炎症が強い場合には、ステロイド注射などが行われることもあります。

物理療法

電気・温熱・超音波などの物理的手法を用いて、炎症の軽減や組織の修復を促し、症状の改善を目指します。

リハビリテーション

手の痛みや変形を引き起こす原因が動作や姿勢にある場合には、動作の見直しが必要です。
無理のない生活動作への切り替え方、痛みの再発を防ぐための体の使い方、日常習慣の改善など、患者様に合わせた具体的な指導を行います。

手の痛みは当院へご相談ください

手は、日常生活のあらゆる場面で頻繁に使われる部位であり、その機能が損なわれることは、食事や着替え、家事、仕事などに大きな支障をもたらします。特に高齢者にとっては、手の障害が健康寿命の低下や介護の必要性に直結する可能性もあるため、注意が必要です。

そのため、違和感を覚えた段階で早めに整形外科を受診し、適切な検査を通じて原因を明らかにすることが重要です。痛みや動きに異常を感じたら、軽視せず、速やかに当院へご相談ください。

当院では、形状の回復だけでなく、手の本来の動きや機能を取り戻すことを重視し、患者様1人ひとりの状態に応じた治療やリハビリテーションをご提案しております。