ハイドロリリース注射（筋膜リリース注射）

肩こりや腰痛などの痛みの背景には、筋肉を覆う「筋膜」や、その周囲で癒着を起こした神経が関わっていることが分かってきています。長時間の不良姿勢や繰り返される無理な動作は筋膜の炎症や血流障害を招き、その結果、筋膜同士が癒着します。この癒着によって筋肉の滑らかな動きが妨げられ、張り感やこり、痛みを引き起こすと考えられています。

従来は、痛みを感じる部位に直接局所麻酔薬を注入する「トリガーポイント注射」が一般的でしたが、注入の深さや正確性にばらつきがあり、効果に限界があるのが課題でした。

ハイドロリリース（筋膜リリース）は、超音波検査で筋膜や周辺組織をリアルタイムに確認しながら、癒着部に薬液を正確に注入する治療法です。筋膜の癒着を剥がすことで筋肉の動きを取り戻し、痛みやこりを軽減できます。さらに、近年では神経の癒着に対する効果も確認されており、手足の痺れなどに対しても応用されています。

局所注射は、痛みのある部位に麻酔薬や鎮痛薬を投与し、その薬剤の効果で痛みを和らげる方法です。一方、ハイドロリリースは、症状の根本原因である筋膜や神経の癒着を直接剥離することを目的としています。そのため、生理食塩水を主体に、少量の麻酔薬を加えて注入します。 局所注射では薬剤の効果が切れると症状が再発することがありますが、ハイドロリリースでは癒着そのものを改善できるため、比較的長期間にわたる効果が期待できます。

ハイドロリリースでは、癒着した筋膜が剥がれることで筋肉の動きが改善され、慢性的な痛みや痺れが和らぐとされています。
また、筋膜の緊張が解消されることで関節の可動域が広がり、「身体が軽くなった」「動かしやすくなった」と感じる方も多くいらっしゃいます。

効果の出方には個人差があり、1回の注射で改善される方もいれば、継続的な治療が必要なケースもあります。状態に応じて治療回数をご提案いたします。

• 入浴：
  当日の入浴は可能です。
• 症状の変化：
  多くの方は注射後すぐに症状の改善を実感されますが、薬液が組織間に5～10ml入るため、一時的に重だるさを感じる場合もあります。
• 効果の発現：
  個人差があり、数日から2週間程度でさらに実感して頂けます。
• 安静の必要性：
  注射部位の安静は不要です。通常通りの日常生活を送って頂けます。

ただし、効果を持続させるためには、筋膜・筋肉・神経の状態を良好に保つことが大切です。せっかく癒着が改善されても、猫背や悪い姿勢を続けていると再発のリスクが高まります。 予防のためにも、ストレッチや運動、姿勢改善などを習慣に取り入れることが重要です。