TOPへ

リウマチ科

リウマチとは

リウマチとは関節リウマチは、免疫の異常によって自分自身の関節や組織を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の1つです。通常は外敵に対して働く免疫システムが誤作動を起こし、特に手足の関節に慢性的な腫れや痛みを引き起こします。進行すると関節の炎症が悪化し、骨や軟骨の破壊を招くこともあります。
この疾患は関節に留まらず、肺や目といった他の臓器にも影響を及ぼすケースがあり、微熱・だるさ・食欲低下などの全身症状が見られることもあります。関節の破壊は発症から2〜3年という早期に進行する傾向があるため、できるだけ早い段階での治療開始が重視されています。

リウマチになりやすい方

日本国内には約70~80万人の関節リウマチの患者様がいると推定されており、特に女性に多く、患者様の約8割を女性が占めています。遺伝的な要因が関与するとされていますが、家族の方に既往があっても必ずしも発症するわけではありません。近年では高齢者に新たに発症するケースも増加しており、年齢に関係なく注意が必要です。

リウマチの初期症状

リウマチは早期発見・早期治療が鍵となるため、次のような初期症状に心当たりがある方は早めの受診をお勧めします。
  • 朝起きたときに指や足の関節がこわばって動かしにくい
  • 関節が左右対称に痛んだり腫れたりする
  • 手足の痺れや痛みを感じることがある

リウマチの診断

関節リウマチの診断には、問診に加えて血液検査やレントゲン検査、関節超音波検査など複数の検査結果をもとに総合的な判断が行われます。リウマチと似た症状を示す疾患もあるため、正確な鑑別が重要です。
例えば、変形性関節症は中高年の女性に多く、特に指の第一関節が腫れるという特徴があります。これはリウマチと混同されやすい疾患の1つです。また、痛風は主に男性に多く見られ、足の親指の付け根に激しい痛みを伴う腫れが出現しますが、他の関節にまで炎症が広がることは稀であり、リウマチとは異なる病態です。

 

リウマチの治療

近年では、リウマチの進行を抑える様々な治療薬が登場し、症状の緩和だけでなく関節破壊の防止や生活の質の改善も目指せるようになっています。代表的な治療薬には、免疫の異常な働きを抑えるメトトレキサートや、炎症を強力に抑える効果のある生物学的製剤などがあります。
治療は「寛解」、つまり症状がなくなるかほとんど感じられない状態を目標に進められます。仮に寛解が難しい場合でも、炎症をできるだけ抑えて症状を軽くすることを目指します。一般的には、治療を開始して2ヶ月以内に症状が改善しない場合、薬剤の見直しや追加などが検討されます。
一度寛解に至った後も、その状態を維持することが大切です。自己判断でお薬を中断すると再発するリスクがあるため、治療の継続や変更については必ず主治医の指示を仰ぐようにしましょう。

リウマチ科で対象となる疾患

関節リウマチ

関節リウマチは、膠原病の中でも特に頻度の高い疾患で、自己免疫の異常によって関節を包む滑膜に炎症が生じ、次第に骨や軟骨が破壊されていく病気です。治療を受けずに進行すると、関節機能が損なわれ、日常生活動作に支障をきたすこともあります。
主な症状としては、関節の痛みや腫れ、朝起きたときに手足が動かしにくい「朝のこわばり」などが挙げられます。特に、手や足の指、手首などに多く見られますが、肘・肩・膝・足首といった他の関節に症状が出ることもあります。さらに、関節だけでなく、微熱や全身のだるさ、食欲不振といった全身症状や、皮膚のしこり(皮下結節)、眼の炎症、肺の障害などが現れるケースもあります。
現在では治療法が大きく進歩しており、関節の破壊を防ぎながら、症状を大きく抑える「寛解」を目指すことが可能となってきました。関節リウマチは、早期に発見して適切な治療を始めることが、将来的な関節障害を防ぐうえで非常に重要です。

リウマチ性多発性筋痛症

リウマチ性多発性筋痛症は、首周り・肩・腰・太ももなどに痛みや強いこわばりを伴う、原因不明の炎症性疾患です。症状が現れると、寝返りを打つのも困難になるほどの痛みを感じたり、起き上がるのがつらくなったりします。肩や腕が思うように動かせなくなるケースも少なくありません。
この病気の特徴は、手指や足の指などの小さな関節よりも、肩や股関節といった大きな関節に症状が出やすく、関節の腫れが目立ちにくい点で、関節リウマチと区別されます。加えて、発熱や倦怠感、食欲の低下、体重減少、気分の落ち込みといった全身的な症状が見られることもあります。

乾癬性関節炎

乾癬性関節炎は、皮膚に炎症を起こす疾患「乾癬(かんせん)」に合併して発症する関節の病気です。関節そのものや腱が骨と繋げる部位、さらには指全体に炎症が生じることが特徴です。原因は明らかになっていませんが、30代から50代で発症することが多く、男女ともに見られます。日本では乾癬を持つ方の約10〜15%がこの病気を発症すると言われています。
皮膚の症状としては、肘・膝・頭皮の生え際・お尻などに赤い発疹が現れ、その表面には銀白色の鱗屑(フケのようなかさぶた)が見られます。こうした皮膚の異常が、関節症状とともに出現する点が本疾患の大きな特徴です。

脊椎関節炎

脊椎や仙腸関節、胸鎖関節など体幹部の関節に炎症が起こる疾患で、なかでも「安静にしていても痛みが治まらない腰背部痛」が代表的な症状です。手や肩の関節にもこわばりや腫れ、痛みが生じることがあり、発熱や全身のだるさを伴うこともあります。病気が進行すると関節の可動域が制限され、「首を動かしづらい」「背中を反らせない」などの日常動作に支障が出ることもあります。骨の柔軟性が低下して骨折リスクが高まるため、早期の診断と治療開始が重要です。

全身性エリテマトーデス

免疫の異常によって、全身の臓器や組織に炎症が及ぶ自己免疫疾患で、関節、皮膚、腎臓、中枢神経などに多彩な症状を引き起こします。原因は明らかになっていませんが、主に20~40代の女性に多く認められます。症状は、発熱や倦怠感、関節痛のほか、蝶の羽のような赤い発疹(蝶形紅斑)が顔に現れるのが特徴です。皮膚の光線過敏、脱毛、口内炎なども見られ、重症化するとループス腎炎や神経症状が生じることもあります。国の指定難病に該当し、医療費助成制度の対象となる場合があります。

全身性強皮症

皮膚や内臓(食道、消化器、肺、心臓など)に硬化が進行する自己免疫性疾患で、線維化や血流障害が徐々に起こるのが特徴です。特に手足の末端で血行が悪くなる末梢循環障害や、皮膚の硬化によって動作が制限されることがあります。原因は明らかになっていませんが、免疫異常が関与しているとされます。現在の医療では根治療法はなく、病変の進行抑制を目的とした治療が中心です。

多発性筋炎/皮膚筋炎

免疫の異常により筋肉や皮膚、肺などに炎症を起こす病気で、皮膚症状の有無によって「皮膚筋炎」または「多発性筋炎」に分類されます。筋力の低下や筋肉痛、顔や手に現れる特徴的な発疹が代表的な症状です。関節痛、倦怠感、発熱など全身症状を伴うこともあり、悪性腫瘍を併発しているケースでは体重減少や食欲不振が見られることもあります。早期発見と治療が重要です。

シェーグレン症候群

涙腺や唾液腺に炎症が起き、目や口の乾燥を引き起こす自己免疫疾患です。主に40〜60代の女性に多く発症し、ドライアイやドライマウス、膣の乾燥などが代表的な症状です。さらに、倦怠感や関節痛、皮疹、間質性肺炎、神経や腎臓の障害など、全身に症状が広がるケースもあります。原因は解明されていませんが、慢性的に進行するため、早期からのケアが大切です。

痛風

血中の尿酸が関節内に結晶化し、激しい痛みを引き起こす炎症性疾患で、特に足の親指の付け根に症状が集中します。その他にも足関節、膝、手首、肩などに痛みが出ることがありますが、多くは一度に1ヶ所のみで発作が起こります。再発を繰り返すこともあるため、治療ではお薬による尿酸値の管理と、食事・飲酒習慣などの生活改善が重要です。